「いつかのメリークリスマス」歌詞考察!

楽曲考察

キョロスケの歌詞考察GYMにようこそ!

この記事では、
B‘zの「いつかのメリークリスマス」
を名曲たらしめる6つの魅力を解説していきます。

30年も前に発表されたこの曲。
すごく切ないんだけど、どこか暖かみもあって
何度聞いても心に沁みるバラードですね。

ファン歴15年で集めた情報と、育んできたB‘z愛を発揮して
この曲をもっと好きになってもらえる内容にしますので、
ぜひ最後までお楽しみください。

動画で見たい方はこちらをどうぞ!

流し聞きにどうぞ。

①「街」から「僕」へ。映画のようなカメラワーク

ゆっくりと12月の明かりが灯りはじめ
慌ただしく踊る街を誰もが好きになる

「いつかのメリークリスマス」1番Aメロより

たったの2行で舞台設定と情景描写を同時に済ませています。

これだけでも鮮やかですごいのですが、

今回注目していただきたいのは1番Bメロの最初です。

視点が「僕」へと一気に切り替わります!

は走り閉店間際 君の欲しがった椅子を買った
荷物抱え電車のなか 1人で幸せだった

「いつかのメリークリスマス」1番Aメロより

Aメロで街全体を映した後で、

グッと個人にフォーカスして没入感を生み出します。

映画のようにダイナミック。最高ですね!

つづく2番では恋人である「君」がやっと登場します。

  • 主人公が歌いながら家に帰る
  • すると恋人が夕食を作っている
  • プレゼントを渡すと恋人が喜んでくれて、
  • 僕は君を抱きしめた

1番では主人公が1人で行動していたのに対して、

2人の関係を具体的に描いています。対比が効いているので、

聞き手である私たちも、心や視界がパッと開けて

温もりを感じさせてくれる…

そんな効果がある展開になっていますね。

こうした場面転換やカメラワーク、ストーリーの紡ぎ方が

この曲をドラマティックにしているんです。

・・・それにしてもこの曲は、

クリスマスの街の描き方が本当に素敵ですよね。

キラキラした感じがありつつ、かといって主張しすぎない。

ちょうどいいニュアンスがいいですね。

②少しずつ幸せへと向かっていく恋物語

1番Aメロ

まず「慌ただしく踊る街」という表現。とてもステキですよね!

クリスマスの風景を柔らかく切り取っています。

そして大事なのが

「誰もが好きになる」というフレーズ。

街全体がちょっと浮き足立ってる雰囲気を

嫌いになる人はいないんだ・・・ということで

ほんのり前向きで、幸せな物語を予感させます。

1番Bメロ〜2番

そして1番Bメロでは実際に、

主人公の幸せとか

恋人への想いが溢れてきます。

…クリスマス当日。

仕事や用事を済ませた後で、

急いでプレゼントを買いに走って

恋人のことを考えながら、

電車の中でも自然と幸せな気分になる。

2番でも

「歌いながら」とか

「少し急いだ」

「恋人が夕食をつくっていた」などなど

どこを切り取っても主人公の幸せが感じられて、

とても心温まります。

しかもプレゼントに関する歌詞は、

「誇らしげに」

「心から喜んで」

とあるので

主人公と恋人の純粋な心が表現されています。

そうやって幸せな描写を積み重ねた先にあるのが

「君を抱きしめた」というピークですね。

とても素朴なストーリーですが、

少しずつじっくりと幸せに向かっていく…

そんな構成になっています。

そこに至るプロセスがしっかりと描かれているからこそ、

心に沁みるリアルな歌詞になっているのだと思います。

③喜びと悲しみを交互にみせる楽曲構成

たった今、

「幸せなストーリーが描かれている」

という話をしました。

ですが、

「いつかのメリークリスマス」の一番すごいところは、

・幸せなクリスマスと

・悲しい思い出を

交互に描いているところです。

1番のAメロとBメロでは

クリスマスの街並みと、幸せな主人公を描きました。

しかし、サビでは一気に話が変わります。

「いつまでも手をつないでいられるような気がしていた」

「何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた」

突然、恋人との別れを感じさせる回想が始まっていますね。

・気がしていた

・追いかけた

と過去形になっているのがとても切ないです。

2番に至っては、

「君を抱きしめた」

という幸せのピークの後で

悲しいサビに入ってくので、ますます切ないですね。

喜びと悲しみ、どちらか片方ではなく

両方を並べることで

「ああ、あの時は幸せだったな、、」

「確かに、今は寂しいけど、どこかスッキリした気持ちもあるなぁ、、」

そんな具合に、

2つの感情を鮮やかに浮かび上がらせる、対比の構図。

「いつかのメリークリスマス」に隠されたすごい魅力だと思います。

④「愛するということ」を知る主人公のドラマ

ここちょっとややこしいんですけど

じっくり説明しますね

2番Bメロ

まず2番Bメロを見てみましょう。

プレゼントを渡して恋人を抱きしめる場面ですが、

よくみたら、違和感のある言葉が隠れています。

その言葉とは・・・

「素直に」君を抱きしめた。

ふつー、素直に、って書かないですよね?

「思わず」とか「嬉しくて」というのがふつーだと思います。

それなのに、

「素直に」という含みのある歌詞になっているのはなぜでしょう?

これ、私なりに深読みするなら、

「恋愛したり、人生自体に後ろめたさを感じている」か、

「素直じゃない抱きしめ方」があるということを

この主人公は知っているのだと思います。

「知ってしまっている」と言ってもいいでしょう。

「素直じゃない抱きしめ方」があるとしたら

  • 本心ではないけど、その場の雰囲気で抱きしめてしまったとか
  • 恋人を泣かせてしまって、言葉ではどうにもならないから、
    消去法で抱きしめるしかなかったとか

そういうシチュエーションじゃないかなと思います。

で、そうだとしたら、

ここで「素直に」という言葉を選んでしまう主人公は

実はとても繊細で、陰のある人物なのではないかと思えてきます。

でも、そんな陰のある主人公でさえ、

クリスマスの幸せな夜には 

「素直に」君を抱きしめることができたんですよね。

だから、「本当に幸せなんだ!」というニュアンスが

すごく伝わってくるんです。

このように「素直に君を抱きしめた」という

とても短いフレーズの中に、

主人公の奥深い人物像や、

作詞を担当した稲葉浩志さんの深みのある世界観が

ギュッと濃縮されていて、

とても味わい深い歌詞になっています。

2番サビ

もう一つセットで見ておきたいのは

2番のサビです。

「人を愛するということに
 気がついたいつかのメリークリスマス」

繊細な主人公が気がついた、

「人を愛するということ」

この意味とはなんなんでしょう?

ここまでの歌詞から推理するなら、

①一つ一つの情景に幸せを感じること

②素直に抱きしめたいと思えること

③君がいなくなることを怖いと思うこと

と言ったあたりでしょう。

1と2はとても前向きですが、

3はその裏返しですね。

とても幸せだからこそ、

それを失うことを恐れて、不安になってしまう。

人間誰しも多少はそんな心理を持っているとは思いますが、

やっぱりちょっと繊細な主人公ですね。

だからこそ、たくさんの人が、自分の弱さとか

不安な気持ちを重ねられるんだと思います。

そして、幸せな気持ちだけじゃなくて、

それを失うことの不安さえも引っくるめて

「人を愛するということ」なのだと。

そんな気づきを、繊細だった主人公が

クリスマスっていう…

ちょっとミーハーなイベントを通して得たというのは

なかなかドラマチックですね。

そんな2番のサビが終わると

ギターソロが始まってへ、切なさが一気に加速します。

こうした深みのある歌詞や演奏も

いつかのメリークリスマスの

見逃してはいけない魅力だと思います。

⑤「解釈の余白」と「割り切れなさ」が奥行きを生む

これに関しては3つのトピックがあります。

①2人に何があったのか説明されない

・2人が別れた理由がわからない

・そもそも別れたのかも定かでない

クリスマスの夜の後に

2人に何が起こったのかは、一切説明されません。

だからこそ、聞き手である私たちは色々想像しちゃうし、

逆に余白があるからこそ、

自分の体験を重ねたり、感情移入しやすいのも事実だと思います。

こういう引き算の作詞ができるのも

稲葉さんの凄さだと思います。

 

②なぜ泣いたのか?解釈の余白がある

間奏の後で

「なぜだか分からず泣いた」

とありますが、いったいなぜ泣いたんでしょう?

私が思う理由は2つあって

①単純に、涙が出るほど幸せだった

②ずっと一緒にはいられないと、心のどこかで気づいてた

└学生同士で卒業して離れる可能性とか、深い部分での価値観の違いとか

→そんなポジティブとネガティブ両方の理由があるから
 感極まって、思わず涙が出てしまったのではないかと思います。

ここも「解釈の余白」が奥行きを生み出していますね。

皆様はどのように感じたでしょうか? 

③最後のAメロの割り切れなさ

最後のAメロです。

「立ち止まってる僕のそばを 誰かが足早に

 通り過ぎる 荷物を抱え 幸せそうな顔で」

「誰か」とは誰か?

さまざまな解釈ができそうですね。

私は、「誰か」とは見知らぬ男性。

その男性は、あの日の自分と同じくらいの若さで…

プレゼントを買って、

歌いながらうちへと急いだ自分。

そんな自分によく似た人を街で見かけて、

昔の自分を重ねているんだと思います。

ここ、めちゃくちゃグッときませんか??

一度同じ経験しているから、

ちょっと俯瞰できる余裕がありますよね。

「あの頃は若かったな」なんて思ったりして。

でも内心、実は、ちょっと痛みを感じていたり…

そういう割り切れなさと懐かしさが

混ざり合った、一言では表せないエモさが感じられる

名場面だと思います。

部活をしている子供を見かけたり

カフェで誰かのグチが聞こえたりした時って

こんな感覚になるんですよね。。

こうやって曲の最後に、

昔の自分によく似た人を登場させることで

より切なくリアルに

いつかのメリークリスマスを思い出す…

そんな余韻たっぷりの表現を、最後に持ってきているんです。

本当に映画みたいで素晴らしいですね!

アンニュイでノスタルジックな感じ。

最高の終わり方だと思います

この話をするために

今回の記事〜動画を作ったと言っても過言ではありません笑

そのくらい大好きなシーンです。

⑥実体験から描かれる「クリスマスの魔法」

さて、最後のポイントです。

ここまで色々話してきましたが、

実はこの曲、作詞した稲葉浩志さんの実体験が

ベースになっているそうです。

もちろん100%全てではありませんが、

歌詞の中の表現は、稲葉さんが体験したリアルな感情とか出来事を

ある程度元にしているようです。

稲葉さんご本人によると、

プレゼントが「椅子」なのも実は深い意味はなくて、

実体験がベースになっているらしいですね。

それは置いといて笑

ここで強調したいのは、

「実体験が元になっているからこそ、歌詞全体のリアリティが生まれている」

ということです。

ネット通販のない時代に椅子を買いに行ったり、

荷物を抱えて電車の中で幸せを感じていたり、

歌いながら帰ってみたり、

そういう細かいディテールがすごくリアルで

感情移入しやすくなっています。

私、

「クリスマスの魔法」って

存在するんじゃないかと思ってるんですけど笑、

・12月の街の雰囲気とか、

・自分でプレゼントを買うことの達成感とか

・恋人の喜ぶ顔とか

そいういうクリスマスならではの情景を

稲葉さんの実体験をもとにして一つ一つ積み重ねることで、

クリスマスの魔法…

当たり前の日々に幸せを感じさせてくれる

ちょっとしたお祭りのような雰囲気が

「いつかのメリークリスマス」という曲全体に

宿っているのではないかと…

そんなふうに感じています。

恋人のことも街のことも

今まで以上に好きだと感じさせてくれる…

そんな「クリスマスの魔法」が

あたたかく、穏やかに、そしてリアルに描かれている。

それこそが、

いつかのメリークリスマスに隠された

最後の魅力ではないかと思います。

まぁ、最後は別れちゃうんですけどね。

そこも引っくるめて、心に沁みる名曲だなぁと思います。

まとめ

いつかのメリークリスマスを名曲たらしめる6つの魅力を解説しました。

恋人と過ごしたクリスマス。

幸せが大きい分、

失うことの怖さや悲しみもあるわけですが

幸せだったあの日のことを素直に前向きに

「ま、いい思い出だったな…」

くらいにしみじみ思ってみるのも悪くないかも知れない…

そんな気持ちにさせてくれる名曲だと思います。

だからこそたくさんの人の心に染み渡って

シングルではないアルバム曲なのに

クリスマスの定番ソングになったのだと思います。

あなたの思ういつメリの魅力も

ぜひコメントで教えてください!

直筆作詞ノートから

「いつかのメリークリスマス」歌詞が完成するまでの

試行錯誤を解き明かす動画も公開しています。

いつメリやB‘zが好きな方はぜひこちらもご覧ください!

YouTubeでB‘zの歌詞に関する動画を制作しています。

よかったらのぞいて見てください↓

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