YouTube動画の反省会シリーズ。
解説に込めた思いや意図、考察する中で気づいた曲の魅力など、
内容をパターン化してメモしていきます。
今回は2016年に発売されたシングル「羽」です。
公開日
前編:2023/12/31
後編:2024/1/2
選曲理由
2023年5月19日、「THE FIRST TAKE」チャンネルに稲葉浩志さんが出演して大きな反響を呼んだ。そんな年のしめくくりに、元々好きだったこの曲を考察しておきたかったため、この曲を選んだ。
くわえて個人的に私生活の面でなかなか大変な一年だったのだが、なんとか日常を生きていく中で何度もこの曲を聴いていた。そんな自分自身の生活を振り返りつつ、この「羽」について発信することで、よいかたちで2023年を締めくくりたい。そんな意図もあった(終わり良ければすべて良しの法則)
演奏してみて発見した魅力
まず1番Aメロ。情景描写と音への研ぎ澄まされた感覚が秀逸としか言いようがない。
「乾いた冷たい」の /k/ と /t/ の子音。無声音の鋭い響きが冷たい風のようにシュッと鼓膜に突き刺さる。「冬」(晩冬)という言葉を使わずに冬を描く。それもたった2行で。
そして「Sting」。またしても鋭い無声音ではじまったかと思いきや、重心のしっかりした安定感のある音をもつ単語だ。
しかし一呼吸置いた後でつづくのは「シン(とした)」という日本語のオノマトペ。英語に擬音語がつづく。言語野がかき混ぜられる。
…これだ。この唯一無二の言語感覚。こんなにも歌詞で、歌の言葉で心をくすぐり音に酔わせてくれる作詞家は稲葉浩志しかしない。
以前読んだWebライティングの教本に、「文章は頭と耳と目で読め」と書かれていた。つまり、意味と音と字面の3点セットがそろって初めて「よい文章」ですよ、ということだ。
私はこの教えが大好きなのだが、稲葉浩志はそれを高い次元で類まれなるオリジナリティをもって実践している。
なんだかかなり興奮した書きぶりだが、動画のために歌詞を考察するまではこんなことには全く気付かず流し聞きしていた。
「そんなことは一度や二度じゃない」
(B’z「Exit To The Sun」より)
と稲葉さんも歌っているとおりで、曲の魅力に気づかず素通りしてきた経験は一度や二度じゃない。だからこそ、歌詞というのはいくらでも考察してみるものだなぁとつくづく思う。
…つぎに2番Aメロ。「涙」に隠された、楽曲誕生の背景が意外だった。
ファンクラブ会報誌を流し読みしていたところ、第何号だったか忘れてしまったが、春に聴きたい曲として稲葉さんが自ら「羽」をあげていた。
その理由は「テレビで見た、ある学生の涙をみて作った曲だから」というもので、私はこのときそれを初めて知ったのだ。
言われてみるとたしかに、卒業からはじまる旅立ちのような印象を歌詞全体から受ける。そのことを知ってから曲を聞きなおすと、なるほど卒業ソングに聞こえなくもない。
これをふまえ、動画内でも「実は卒業ソング」というキャッチーな言い方をした。
むろん、卒業式から着想を得たからといって「卒業ソング」とみなす必要はない。ただ、もしそう解釈してみるなら、きわめて力づよい卒業ソングということになるだろう。そんな「羽」の隠れた魅力に気づくことができたのも収穫だった。
良かった点
・iPadを使った添削方式の動画づくりができたこと。まず一度下書き→二回目が撮影本番 という段取りでつくってみたが、画面の出来栄えだけ見たら初回にしては及第点だと思う。「登場人物整理」のような補足ページを自作できたのも現代文の授業っぽくてよかった。
・最後の感想。台本はiPadに1回目の板書下書き後に走り書きしたものがベースだったが、本番でもしっかり熱がこもってくれた。
- 個人的な思い入れも話せたし、
- 歌詞と結びつけてうまいこと言えたし(おい)
- 「長くつづく人生という旅路のエネルギーを蓄えてみては?」という結びもよかった。
今後も踏襲していきたい。
・表情。原稿がなかったおかげかカメラ目線でわりとしっかりしゃべることができた。前回動画よりも目もしっかり開いてたと思う。継続したい。
・ずんだもん音声を入れた。こういう遊びが大好きだったことを思い出した。どんどん入れたい。
悪かった点
・原稿なしで撮影した結果、編集が超大変だったこと。手書きと喋りが全く連動していないし、カットする場面もかなり多かったのでとんでもない作業量だった。
・肝心の考察が散漫だった。どこがポイントなのか(今回は撮影後に「大丈夫~」を主眼に据えた)、どんな解釈を推したいのか、わかりにくい動画になってしまったと思う。後編動画のコメント欄に自分で補足を書き込んだが、勝手に問題を難しくしてしまったと思う。木を見て森を見ずな印象。これはしっかり原稿を作らなかったのが原因だと思う。
・サムネ。つぎの素材をうまく配置できなかった。どうすればいいかわからなかった。
- キョロスケ(自分)
- 歌詞~添削画面
- ファーストテイクのサムネやCDアートワーク
- 煽りテキスト
考えこんでしまったらいつまで経ってもリリースできないと思い、今回は全くサムネを工夫しなかった。今後必勝パターンを見つけたい。
次回改善すること
・撮影時のトークと画面記入を連動させる。「しゃべりながら書く」がいいかも。少なくとも「喋った後で書き込む」だと撮影データの時間が長くなり合成編集も大変になるということが分かったので、そうならないようにする。
・原稿を作り込む。B’z「GROW&GLOW」の考察動画を久々に見返したら、すごくていねいでわかりやすい解説をしていたことに自分で感心してしまった(自信なかった回なので完成度にけっこう本気でビビった)。
この動画はなかなか難産で、公開が遅れまくった記憶がある。それだけしっかり作った原稿は、おのずと動画の完成度も高めてくれるということだろう。この体験をしっかり再現していきたい。
・サムネ。残念ながら解決策は思いついてない。原稿をしっかり作れば、動画のテーマもおのずと定まり、サムネも連動して定まる気がする。やはり原稿の完成度を高めることがカギだろう。
おわりに
動画ではまったく出せなかった主観たっぷりのレビューが書けたことに自分でちょっと驚いている(なんだか驚きっぱなしだな)。
動画とか喋りではなく文章が私の発信活動の原点であるということに今更気づかされた。
やはり何事もやってみるものだと29歳にして思う今日このごろ。
動画で解説したとおり、「羽」も旅立ちの前の情景や心情が間接的でありながらリアルに描かれている。そんな曲にまつわる記事で自分の原点に立ち返ることができたのは、アーティストのファンとしてとてもうれしいことだ。
このブログを立ち上げたはいいものの、位置づけに正直迷っていたが、反省会とかエッセイとか、YouTubeでは読めない内容を発信していくのが楽しいし、読んでくださる方にとっても面白いコンテンツになるのではないか、という気がしてきた。
まずは明日のライブ配信でブログをご案内してみようと思う。
視聴者ゼロでも大丈夫、今は振り返らないで。。
(おあとがよろしいようで🥺✨)
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